【株式会社ツムラ 香取 征典様、豊嶋 貴弘様、西 明紀様、貝淵 典子様、村山 大育様インタビュー】「柏の葉を舞台に新しい漢方製剤の開発から未病の科学化まで様々な領域に挑戦し、この地から社会実装を目指したい」 | テナントインタビュー一覧 | レンタルラボ&オフィス|三井リンクラボ
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ホーム > テナントインタビュー一覧 >  【株式会社ツムラ 香取 征典様、豊嶋 貴弘様、西 明紀様、貝淵 典子様、村山 大育様インタビュー】「柏の葉を舞台に新しい漢方製剤の開発から未病の科学化まで様々な領域に挑戦し、この地から社会実装を目指したい」

 【株式会社ツムラ 香取 征典様、豊嶋 貴弘様、西 明紀様、貝淵 典子様、村山 大育様インタビュー】「柏の葉を舞台に新しい漢方製剤の開発から未病の科学化まで様々な領域に挑戦し、この地から社会実装を目指したい」

株式会社ツムラ
株式会社ツムラは、日本を代表する漢方製剤の製薬企業です。百種類以上のエキス製剤を開発・販売しており、漢方医療の伝統を維持しながらも、同時に最新技術に基づいた安全確保や品質管理、科学的エビデンスの収集・構築、さらには「未病の科学化」と社会実装など、新たな課題にも果敢に挑戦しています。今回は株式会社ツムラの皆様に、同社のビジネス概要や現在の研究方針、「三井リンクラボ柏の葉1」内の同社ラボの役割、将来展望などについて聞きました。

医療用漢方製剤のパイオニアとして新たな研究開発に挑戦

まずは貴社の概要をご紹介ください。

香取 征典様:当社の創業は、1893年(明治26年)に東京・日本橋に誕生した「津村順天堂」まで遡ります。現在は年商1,926億円(2026年3月期)、従業員数(連結)は4,923名に上ります。現在の当社の主力事業は、保険診療の対象薬である「医療用漢方製剤」と、処方箋がなくても購入できる「一般用漢方製剤」の製造と販売です。さらに中国での事業展開なども含めて、さまざまな取り組みにも挑戦しています。

株式会社ツムラの主要製品(漢方製剤)と年間売上高(2026年3月期)

医療用漢方製剤 一般用漢方製剤等
処方の種類 129処方 49処方
売上高(百万円) 153,918 6,206

参照: https://www.tsumura.co.jp/ir/finance/outlook/

また当社は、生薬および漢方製剤の研究も長年にわたり進めてきました。現在は、茨城県稲敷郡阿見町にある茨城工場内の研究所で、植物・生薬・処方および製剤研究を進めています。漢方製剤の領域では、世界でも比類なき研究力を持つと自負していますが、一方で今後の成長戦略を見据えて、新たな研究分野にも挑戦しています。そのひとつが、メタボローム解析などの先端技術を組み合わせて、漢方薬の複雑な働きを統合的に理解する、当社独自の研究パッケージ「KAMPOmics(漢方ミクス)」です。さらにこの技術の応用研究として、未病の領域(下図)や漢方薬の個別化治療の追究など、社会実装型の研究にも挑戦中です。

ツムラが考える「未病三防」

治未病(未病先防) 重症化抑制(既病防変) 再発抑制(癒後防復)
些細な体調変化や自覚症状から未病状態を把握し、病気になることを防ぎます。 病気を発症した際、早期発見・進行予測・早期適切治療により重症化を抑制します。 病気治療の予後・QOLを改善し、社会復帰を可能にすべく再発を抑制します。

参照:KAMPO FRONTIER 創刊準備号(2026.1)

漢方製剤が他の医薬品と大きく異なる点は何でしょうか?

豊嶋 貴弘様:一般的な医薬品(もちろん例外もありますが)の有効成分はだいたい1種類です。これに対して、漢方薬は複数の生薬の組み合わせであり、有効成分も多岐にわたります。そのため、漢方薬の製剤化では「多成分系の品質管理」が要求されます。たとえば、従来の漢方製剤を新たな製剤に変更する場合、溶出試験法などを用いて有効成分の溶出パターンを確認し、従来の製剤と同等の溶出パターンを確保できているかを、実験を通じて確認・検証する必要があります。漢方製剤はその有効成分が多岐に渡るので、品質管理が大変なのです。

茨城の研究所スタッフにも通勤しやすい場所を探索

新たにラボを開設した理由は何でしょうか?

西 明紀様:茨城の研究所では研究領域の多様化と共に研究員の数も増えていたことに加え、未病の領域への挑戦のための新たな拠点が必要でした。継続して優秀な研究員を確保していくためにも、交通アクセスが良好な場所にも新たな研究施設を開設する必要がありました。そこで検討の結果、「三井リンクラボ柏の葉1」を選択しました。

なぜ「三井リンクラボ柏の葉1」だったのでしょうか?

村山 大育様:今回の研究機能の一部移転にあたっては、まず「研究者の現在のライフスタイルを尊重したい」と考えました。同じ茨城県や神奈川県にも同様の共用ラボがあることは存じていましたが、当社の場合は現在の研究所が茨城県阿見町にあることから、「もし新しい研究施設に配置換えになっても、研究者が現在住んでいる場所から転居する必要がない」ことが、ラボ探しにおける優先事項でした。その点では、阿見町と「三井リンクラボ柏の葉1」は阿見町とのアクセスが比較的良好なので、研究者にとっても通勤しやすい場所だと思いました。

実際に移転した後の感想をお聞かせください。

貝淵 典子様:とても便利ですね。特に柏の葉キャンパス駅の周辺は商業施設も充実しており、通勤ライフを楽しんでいます。また、他社との協業に期待して拠点を構える企業も多いので、研究者や会社同士の交流が生まれやすいことも魅力です。研究成果の社会実装を目指すにあたり、この環境は大きな強みになっています。実際に他社の研究施設を見学する機会もあり、新たなつながりが広がっています。ラボの立ち上げに関しては、社内外の多くの方々の協力により、ごく短期間でバイオセーフティレベル2に対応した研究室を開設できました。移転後は私たちの研究開発に合わせた環境づくりや運用の最適化に注力できており、研究開発も順調に進んでいます。

柏の葉を舞台に新たな漢方診断の社会実装に挑戦したい

柏の葉ラボの役割について詳しく教えてください。

西 明紀様:柏の葉ラボの役割は、主に「未病の科学化」と「既存製剤の改良」になります。そのうち前者は、ラボに遺伝子解析グループが常駐しており、遺伝子の発現状態に着目した「未病の指標化」に関する研究開発を担当しています。

豊嶋 貴弘様:既存製剤も常にアップデートする必要があり、品質管理や新製剤に関する研究(溶出試験など)も、柏の葉ラボが担当しています。たとえば、新製剤の溶出性能が従来の製品と同等以上であることを確認する場合は、柏の葉ラボの液体クロマトグラフィーを用いて溶出試験などを繰り返し実施します。こちらも将来的には「バイオロジーを用いた漢方製剤の多成分品質管理の指標化」などに挑戦したいですね。

最後に「今後の展望」についてお聞かせください。

香取 征典様:現在はまだ外部に公表できる段階ではないのですが、実はすでにさまざまなご相談が水面下にて進行中です。将来的には「柏の葉」を舞台に、「未病の科学化」の社会実装に加え、地域、研究機関、企業との連携も視野に入れながら、柏の葉スマートシティの実証環境を活用した研究の可能性を検討していきたいと考えています。「漢方診断サポートシステムの社会実装」などを目指したいですね。また、同じ「柏の葉」で活躍する企業との交流についても、本格的な協業はまだまだこれからといった段階なので、今後も企業同士の交流を進めていきたいですね。将来的には、この「柏の葉」の中で研究サイクルが完結するようなエコシステムの完成にも期待しています。

本日はお忙しい中、インタビューにご対応頂きまして、ありがとうございました。今後の貴社のますますのご隆盛と、漢方領域の新しい未来の実現をご祈念申し上げます。


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