機能製品・樹脂製品・化学製品を中心に様々な領域に事業展開
まずは貴社の概要をご紹介ください。
遠宮様:当社の起源は、1934年(昭和9年)に誕生した「昭和人絹株式会社」に遡ります(人絹=レーヨン)。その後、1944年(昭和19年)に同社の化学部門が分離・独立して誕生したのが、「呉羽化学工業株式会社」です。戦後は、食品包装フィルム「クレラップ(クレハロンフィルム)」をはじめ、革新的な樹脂素材や炭素繊維、医薬品や農薬など、さまざまな素材・製品を開発してきました。現在は機能製品事業、化学製品事業、樹脂製品事業を中心に事業を展開しています。
| 機能製品事業 | 化学製品事業 | 樹脂製品事業 | 建設関連・その他事業 |
|---|---|---|---|
|
・ポリフェニレンサルファイド ・ポリフッ化ビニリデン ・炭素製品 ・ポリグリコール酸 ・マイクロスフェアー |
・医薬品 ・農薬 ・工業薬品 |
・家庭用品 ・業務用食品包装材料 ・釣糸 |
・建設関連事業 ・環境事業 ・運輸・倉庫事業 ・商社事業 ・不動産・サービス・保険 |

貴社の数々の製品の中でも、特に「クレラップ」は有名ですね。
遠宮様:実は「クレラップ」も、当社の独自技術から誕生した製品のひとつです。もともとは、苛性ソーダの製造事業から生じる余剰塩素の用途として塩化ビニリデンの製造に着目し、米国企業からの技術導入を検討していました。ところがその後の交渉がまとまらず、当社には技術導出されませんでした。そこで研究陣が奮起し、あらためて独自技術による塩化ビニリデンの開発に挑戦。そして誕生したのが、塩化ビニリデン樹脂の優れたガスバリア性を家庭用食品包装フィルムに応用した「クレラップ」なのです。
「クレラップ」は貴社の独自技術から誕生したのですね。
遠宮様:「クレラップ」の開発エピソードは、当社の研究開発に対する姿勢を示す一例として、当社の社員であれば誰もが知るほど有名です。わたしも先輩方から何度もこの逸話を聞かされました(笑)。
貴社の研究開発についてもお聞かせください。
五十嵐様:当社の研究開発は、福島県いわき市、茨城県小美玉市、三井リンクラボ新木場2の3拠点で実施しています。もともとはいわき市と小美玉市の2拠点でしたが、今後の商品開発および新事業開発における課題、すなわち「優秀な人財の確保」、「情報収集能力の強化」、「外部研究機関との協創・協業」、「マーケティングと研究開発の一体化」に対応するため、東京研究所を開設しました。

「お客さまの声をよく聴く」ために新木場ラボに一部機能を移転
東京研究所の設立理由でもある「課題」について、教えてください。
遠宮様:もともと我々は、従来のプロダクトアウト(開発した製品の市場を開拓する)路線に限界を感じていました。いくら開発側が「素晴らしい機能を持つ素材が開発できた!」と思っても、お客さまが必要性を感じなければ製品は売れません。そこで大切となるのが、マーケットイン(お客さまのニーズを満たす製品を開発する)という考え方です。しかしマーケットインによる開発では、研究者が開発初期からお客さまとよく会い、話を聞く環境が必要です。そこで「お客さまが多く、市場動向も把握しやすい都内に新たな研究所を開設しよう」という結論に至りました。
「三井リンクラボ新木場2」を選択した理由は何ですか?
遠宮様:新しいラボを立ち上げるにあたり、さまざまな可能性を検討しました。まず前提条件として「ラボでは化学薬品を扱うため、薬品の使用が可能なこと」、「当社の本社の所在地である日本橋浜町からの交通アクセスが良好であること」が重要でした。また研究員は国内外への出張の機会も多く、「主要な駅や空港へのアクセスが良好であること」も重視しました。その条件にピタリと合致したのが、三井リンクラボ新木場2でした。

新木場ラボの使い勝手についても感想をお聞かせください。
仲矢様:周囲の環境だけでなく、共通機器室など館内の設備も充実していますね。もしこれらの装置を自前で準備するとなれば大変でした。また運営側の対応も迅速丁寧です。当社のラボには消費電力の大きい設備もあるので、時間ごとの電気使用量を確認したいと運営側にお願いすると、すぐにデータをご共有頂きました。また、館内の屋上テラスを含めた共用スペースやカフェは、環境がよいので、新しく配属された方に館内を案内する際は、『煮詰まったときの気分転換に利用するといいですよ』とこっそり伝えています。当社の若手社員たちは、昼食時にも共用スペースを利用しています。
今後は三井リンクラボ内の他社さまとの協業や交流も進めたい
貴社の今後の展望についてお聞かせください。
遠宮様:当社は創業当時より、独自技術を骨格とした化学メーカー、すなわち「技術立社」として、新しい技術開発を通じ、「いかに新たな価値を生み出すか」という姿勢を貫いてきました。現在の新中長期経営計画「Technology to Value」の中では2035年のありたい姿として「技術の収益化にこだわり、世界で勝ち抜く高付加価値企業」を掲げています。この状態になるべく、主力事業の競争力強化に加えて、ライフサイエンス領域の育成〜たとえば、バイオスティミュラント(生物刺激剤)や微生物農薬などの開発〜などにも積極的に取り組んでいきます。
三井リンクラボ内の入居者間の交流についてはいかがですか?
仲矢様:実をいうと、現時点ではまだそれほど他社さまとは交流はできていません。しかし今後は、当社からも積極的に交流の輪に参加したいと考えています。当社の事業のうち、三井リンクラボの入居者の皆様との親和性が高い領域といえば、たとえば医療材料や農薬事業などのライフサイエンス関連事業になるかと思います。当社のラボは、材料研究など上流の段階を担う研究者が在籍しています。もし当社の研究開発にご興味があれば、ぜひともお声掛けください。
