まずは会社のご紹介からお願いします。
室町ケミカル福本様:室町ケミカル株式会社は、福岡県大牟田市に本社を構える化学工業会社です。その発祥は、明治時代に福岡県須恵町で創業した「須恵目薬」まで遡ります。第二次世界大戦の影響で一時は廃業しましたが、終戦後に社名を改めて再出発。のちに、女性向け健康食品やイオン交換樹脂などの領域にも進出し、現在は、医薬品・化学品・健康食品の3事業を中心に事業展開しています。柏の葉ラボに移転したのは、医薬品開発部になります。
福岡県で生まれた会社なのですね。
室町ケミカル福本様:現在も、本社機能および医薬品の製造工場は、福岡県大牟田市にあります。元々は、医薬品開発部門も大牟田市の本社内にあったのですが、関東圏のお客様からのご依頼や相談業務などに対応するため、埼玉県に拠点を移設。さらに今年6月に、開発拠点を三井リンクラボ柏の葉に移設して、名前も「医薬品開発センター」に改称しました。
室町ケミカル株式会社本社(福岡県大牟田市)
どのような医薬品を製造しているのですか?
室町ケミカル福本様:当社の医薬品事業は、主に原薬および中間体の合成、受託加工などになります。顧客の中には、医療用医薬品の会社もあれば、一般用医薬品の会社もあります。
医薬品開発部の役割についてもお聞かせください。
室町ケミカル福本様:たとえば、医薬品の製造会社から、原薬製造に関する依頼など様々な相談が当社に寄せられると、医薬品開発部がより具体的な検討を行い、実現可能性を検討したり、お客様のもとに行ってより詳しい話を詰めたり、サンプルを提供したりします。柏の葉ラボはウェットラボ機能も完備しているので、必要に応じて試作品なども製造します。
室町ケミカル瀬戸様:従来の企業に加えて、最近はスタートアップやアカデミアからの相談や開発依頼も増えていますね。中には「いま新製品の開発に挑戦しているので、我々に協力してほしい」という依頼もあります。その他にも、臨床試験に用いる小ロット単位の治験薬の原薬製造、ラボスケールでの合成方法の検討なども、医薬品開発部が担当しています。
危険物取り扱い規則も厳守されており「安心して利用できる施設」
なぜ新拠点として「三井リンクラボ柏の葉」を選択したのでしょうか?
室町ケミカル福本様:柏の葉地域には、周辺にアカデミアやスタートアップ関連の施設が多く、医薬・医療に関する最新情報を共有できる環境があります。ウェットラボを備えているのも魅力的でした。我々もかなり探しましたが、ウェットラボのある施設は、ほとんどないのが現状です。契約期間に上限がないのも魅力的ですね。国や機構が運営するラボは、契約期間に制限があって、期間満了を迎えると施設から出ないといけません。柏の葉ラボには期限がないので、研究拠点を転々とする必要がなく、お客様とのつながりも維持できます。
「三井リンクラボ柏の葉」に対する感想をお聞かせください。
室町ケミカル福本様:様々な支援をして頂いており、非常に助かります。先ほど紹介したように、当社の柏の葉ラボでは、お客様から依頼を受けて、試験用サンプルとして少量の化合物を製造・納品することもあって、その過程で有機溶剤などを使う場面も多いのですが、施設全体で危険物取り扱いの規則がきちんとしており、その点は非常にありがたいですね。
室町ケミカル佐久本様:少量の溶剤しか使わない実験でも、その度に危険物倉庫まで溶剤を取りに行き、実験が終了すればまた倉庫まで戻す作業は、研究者的には少し煩雑かもしれませんが、安全面を考えれば、コンプライアンスが厳守されていて、良い施設だと思います。
柏の葉ラボでの交流を通じて将来の新規事業のタネを見つけたい
ラボ内の他社の方々との交流の機会などはありますか?
室町ケミカル福本様:まだ入居して2カ月ですが、向かい側のテナント様とは、ときどき話をしたりします。ラボ内の交流の機会もあって、今月もランチタイムのイベントが開催されるので、こうした場面を利用して、引き続き皆様との交流の機会を深めたいと思います。将来は、柏の葉ラボの皆様を対象に、当社事業を紹介する講演会なども開いてみたいですね。
「三井リンクラボ柏の葉」で、将来実現したいことについてお聞かせください。
室町ケミカル瀬戸様:最近はスタートアップの方々との仕事も増えていますが、当社に依頼された経緯としては、当社のウェブサイトを見て知ったというケースが、大半を占めています。今後は柏の葉ラボやコミュニティを通じて、当社がアカデミアやスタートアップの皆様の依頼に柔軟に対応できることを、もっと広く知ってほしいと思います。将来的には、我々の事業部の仕事も順調に進展して、さらにこの柏の葉で規模を拡大していきたいですね。
室町ケミカル福本様:当社は、規模的には中小企業にあたるため、業界内で生き残っていくためには、常に「これから大きく育つ可能性のある領域」に真先に参画する姿勢が求められます。当社の場合は、事業の主軸となるのは医薬品事業ですが、さらにその周辺領域、たとえば医療機器や再生医療などについても、柏の葉という場所を利用して積極的に情報収集を行い、新たな事業の方向性を模索したいと考えています。特に我々は、研究要素が強い部門なので、ビジネス以外の部分でも、柏の葉の皆様と様々な話ができると期待しています。