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【株式会社KINS 下川穣様インタビュー】「新木場ラボを舞台にアジアでナンバーワンのマイクロバイオーム企業を目指したい」 

株式会社KINS
株式会社KINSは、マイクロバイオーム(※体内に存在する微生物の総体)を利用したヘルスケア製品を開発・販売を行う日本のバイオテックです。体表面や体内のマイクロバイオームを改善することで、皮膚やお腹の健康をサポートする健康食品や基礎化粧品などを、独自に開発・販売しています。今回は同社の代表取締役を務める下川穣様に、事業の内容や将来の展望などについて聞きました

マイクロバイオームの可能性を知り事業化に挑戦しようと思った

それでは、まずは下川様の自己紹介からお願いいたします。

下川様:わたしの前職は医療法人の理事長でした。その頃、外部の研究者チームとマイクロバイオームの共同研究を行う機会があり、皮膚科・消化器内科・婦人科等様々な診療科においていまだ根本的な解決法がない慢性疾患の患者さんが、マイクロバイオームの改善を通じて体質が変わり、同時に症状も改善するというケースを何例も目にしました。そこで俄然、興味がわき「この技術を何とか社会実装したい」と考え、いまの会社を起業しました。

現在の事業内容についてもお聞かせください。

下川様:当社は現在、マイクロバイオームに特化したヘルスケア製品事業を展開しています。具体的には、たとえば女性のお肌のトラブルや便秘などの悩みに特化した基礎化粧品や健康食品などの開発および製造販売です。さらに今秋からは、男性を対象とした事業も開始する予定です。ヒトだけでなく、ペット(イヌ・ネコ)向けの製品も展開しています。個人のお客様だけでなく、企業を対象に原料の卸販売事業も行っています。



また製品の開発とは別に、病院事業も展開しています。国内では、東京都内(二子玉川と立川の2カ所)にイヌ・ネコを診療する動物病院を開業しており、こちらも大変ご好評いただいています。2年前にはシンガポールに皮膚科クリニックを開院しました。同院は、ニキビ・酒さ治療を専門とするクリニックですが、こちらの事業も順調です。

強みは「検査・医療・開発を一気通貫に進めることができる」

マイクロバイオーム業界における貴社の「強み」といえば何でしょうか?

下川様:当社の強みは「検査・医療・開発を一気通貫に進めることができる」点にあります。たとえば、アニマルヘルス領域については、病院事業を通じて多くのデータの蓄積があります。皮膚科領域についても、当社独自の肌検査キットを通じて、これまでに約1万8千件の女性の肌データを蓄積しています。シンガポールではクリニックも開業しており、まさに検査から医療、製品開発まで切れ目なくつながっている状況です。

1社で3つの領域をすべてカバーできるというのは、素晴らしいですね。

下川様:たとえば、検査や医療に強い法人は製品開発や市場戦略が苦手であったり、逆に市場戦略に強い会社は医療の知識が不足していたりと、ひとつに特化していると、得意な分野と苦手な分野が生まれがちです。当社の場合は、認定医から研究者、市場戦略のプロに至るまで多様な人材を抱えており、同じ傘のもとで検査・医療から開発・販売まで一気通貫に進める体制があります。世界的に見てもユニークだと自負しています。

新木場ラボは「共有設備や電源環境などの充実」に魅力を感じた

海外拠点も含めて、貴社の現在の活動拠点についてお聞かせください。 

下川様:まず国内では、三井リンクラボ新木場2に事業所本社を構えています。また事業所とは別に、都内に動物病院を2カ所開設しています。さらに当社は「アジアでナンバーワンのマイクロバイオーム企業を目指す」というビジョンのもと、シンガポールに海外事務所を開設しており、シンガポールではクリニックも開業しています。シンガポールのクリニックは、現在はニキビや酒さの治療に特化した診療所ですが、今後は更年期障害や不妊治療などにも対応できる場所にしたいと考えています。

三井リンクラボ新木場2に入居された経緯をお聞かせください

下川様:もともと本社は渋谷区にあったのですが、事業の成長とラボスペースの拡張を目的に、昨年9月に新木場に移転しました。その際、複数施設を比較・検討させていただきましたが、三井リンクラボ新木場2は、電源設備や浄水設備そして共通機器室などの実験環境が充実しており、まさにラボとしての使用を前提に設計されている点に魅力を感じました。バイオテック関連の入居も多く、三井不動産のご担当者からも「今後も新木場をバイオテックの街として開発を続けていく予定です」との話を聞き、新木場に決めました。

これまでの知見を活かして動物用医薬品の開発にも取り組みたい

今後さらに新しくチャレンジしたい領域などはありますか?

下川様:今後は最先端の腸内フローラ検査を活用した男性向けのサービスや保有するデータを活用した製薬企業との共同研究を行っていきたいと考えています。

動物病院については、日本でも順調に進展していることから、今後はさらにアジア地域への展開も計画しています。たとえば、シンガポールではコロナ禍を契機にイヌやネコを飼う人が急増し、もともとはペット禁止だった公営住宅も、のちにイヌやネコを飼育できるように法律を改正したほどです。その一方で、シンガポールは獣医師の数が絶対的に不足しており、質の高い動物医療の需要は非常に高いと考えています。

さらに将来の可能性としては、動物用医薬品の開発にも挑戦したいと考えています。事実、これまでの病院事業を通じて蓄積してきた様々なデータから、動物のマイクロバイオームについても新たな知見が続々と生まれています。それらのデータをもとに、たとえば製薬企業と共同研究契約をむすび、マイクロバイオームの改善を通じてイヌやネコの慢性疾患の改善に貢献するような、動物用医薬品の開発にも挑戦したいですね。

「医薬品と健康食品の中間地帯」は大きな可能性を秘めている

マイクロバイオームの医療応用については、今後どうなるとお考えですか?

下川様:我々もショットガンメタゲノムシーケンスなどを通じて、多くのヒトのデータを収集していますが、かなり個人差が大きい世界ですね。クロストリジウム・ディフィシル感染症という特殊な疾患に対する治療として、米国では糞便微生物叢移植を含む治療法が承認されましたが、その場合も「移植前に強力な抗菌薬治療を行って患者さんの腸内細菌叢を一旦リセットする」という、強引な治療が必要です。

そこで、我々としてはその手前の「医薬品と健康食品の間」にも注目をしています。たとえば、加齢に伴う男性のパフォーマンス低下に対して、多くの人たちが健康食品に多額を費やしています。でも実際は個人差が大きく、全ての人が同じ効果を得られるわけではありません。そこで、たとえばショットガンメタゲノムシーケンスで個人のマイクロバイオームを把握した上で、その利用者にとって最適な製品を選択できれば、さらに高い改善効果が期待できます。医薬品ではないが、従来の健康食品より高い期待値が見込める「中間地帯」は、これから大きな可能性を秘めている分野だと考えています。

本日はお忙しい中、ご対応いただきまして、ありがとうございました。今後の皆様の事業のご成功と、「アジアでナンバーワンのマイクロバイオーム企業を目指す」という貴社のビジョンが実現する日を、心からご祈念申し上げます。


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