共創パートナーがいつも同じ空間にいると良い。
そしてその空間のデザインが、コミュニケーションの質に影響する。
まず最初に、FS CREATIONの成り立ちについて教えてください。
具体的なきっかけは、2018年にノーベル賞の前哨戦とも言われるウルフ賞の化学部門賞を受賞し東京大学では3人目の「卓越教授」となられた藤田誠先生が2022年度いっぱいで定年退官されるのに伴い、翌年度以降の研究場所を探していたところに、三井不動産から「リンクラボ柏の葉」を研究拠点とするご提案をいただいたことです。私たちはこの5年ほど東大の「社会連携講座」のひとつとして産学連携の取り組みを進めています。「リンクラボ柏の葉」の“産学連携によるオープンイノベーション拠点”というコンセプトは私たちの目的と完全に合致するものでした。そこで「FS CREATION」を立ち上げたというわけです。
佐藤先生が産学連携に取り組むことになったきっかけ、経緯はどのようなものだったのでしょうか。
私が教員になったとき、年1~2社くらいは企業との共同研究はあったんですが、あまりうまくいかないな、というのが正直な思いでした。お互いに「ハッピー!」という感じではなかったんですね。ただ、その後東北大学に移り、ある企業さんとガッツリと共同研究することになりまして。私はプロジェクト全体の統括補佐をしたんですが、これはすごく上手くいったという実感があったんです。そこでは人と人がしっかりと組んで、フリーにディスカッションできる関係性が生まれました。こうすればうまくいく、逆に言うとここまでやりこまないとお互いwin-winになるような成功はないんだな、ということをその時に知りました。そうした経験がFS CREATIONに繋がっています。
FS CREATIONを訪れると、まずガラス張りの空間がとても印象的です。
この空間デザインにも、そうした経験が活かされているのでしょうか。
はい、まさにそうなんです。今お話しした東北大学での産学連携の研究拠点になった研究室が、とても工夫を凝らした空間になっていました。もともと合成の実験室はどうしても閉鎖的な空間になってしまいがちで、作る側も使う側も、そういうものだという先入観がありました。ところが東北大学の実験室はガラス張りになっていて見通しが良く、安全ですし、たとえばガラス越しに相手の様子を見て、今話しかけていいタイミングかな、というようなこともわかる。相談しやすいし、血の通った会話が出来る。共創パートナーがいつも同じ空間にいると良い、そしてその空間のデザインがコミュニケーションの質に影響する、ということを、その時に学びました。
そこで、今回「三井リンクラボ柏の葉」の6階にFS CREATIONをつくるにあたって、建築設計とコンセプト設計を、東北大学の実験室を作られた「建築築事務所」の望月公紀さんとの共同で行ったんです。
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