事業方針の再編に伴い、くすりの価値を最大化する「育薬研究」に注力することに
まずは貴社の事業内容を教えてください。
鳥居薬品土井様:当社は、医療用医薬品の開発および製造販売を行う製薬企業です。現在は、主に3つの疾患領域(腎透析疾患・皮膚疾患・アレルギー性疾患)に取り組んでいます。
現在の研究体制についてもお聞かせ下さい。
鳥居薬品土井様:当社は2020年に組織の再編を行いました。その際に千葉県佐倉市の自社工場を売却、研究所を閉鎖しました。研究機能のうち、現在も販売している医薬品に関して、品質の維持・管理、製品の価値最大化を目的に、新たに2020年9月に三井リンクラボ葛西に当社ラボを開設する運びとなりました。
すると貴社の葛西ラボは創薬の拠点ではなく、価値最大化のための研究拠点ですか?
鳥居薬品宮崎様:そうです。その意味では「育薬」が最もイメージに近い言葉かもしれません。
鳥居薬品土井様:現在の多くの治験は、医薬品の承認を得るために計画された臨床試験になります。主に、新薬の有効性および安全性に注力した試験を経て、医薬品の承認を得ています。一方で、医薬品が実臨床で使用されはじめると、様々なクリニカルクエスチョンが得られます。その様な問いに対して答えるには、新たなデータを得なければなりません。これが育薬研究と言われるものです。葛西ラボは、リアルワールドでのエビデンス収集をするために、育薬研究を行っています。これらの研究活動を通して、製品価値の最大化へ寄与しています。
三井リンクラボ葛西では、日々どのような研究に挑戦しているのでしょうか?
鳥居薬品土井様:現在、葛西ラボでは、臨床の先生方と様々な共同研究を展開しています。臨床サンプルの解析を主に行っています。これらのデータ解析により、医師を含めた医療従事者あるいは、患者様へお返しできる研究結果になると信じています。当ラボの研究員は少数精鋭で日々奮闘しています。
入居してすぐに製薬企業クオリティの環境で施設利用できるのは素晴らしいポイント
三井リンクラボ葛西との出会いについてお聞かせ下さい。
鳥居薬品土井様:研究規模の縮小と移転を行うにあたり、約半年間という短期間で次の自社ラボを見つける必要がありました。当初は4施設ほど候補があり、全ての施設を見学しまして、最終的に三井リンクラボ葛西に決定しました。最大の決め手は、まっさらな図面でラボの設計ができること、加えて、当社本社(東京・日本橋)からのアクセスが非常に優れていることです。30分以内で本社とラボを移動できます。また将来の事業規模の拡大にも対応できるラボの拡張性という点も、非常に魅力的でした。
実際に自社ラボを開設してみて、いまどのような感想をお持ちですか?
鳥居薬品土井様:三井リンクラボ葛西は、第一三共株式会社の敷地内である背景もあり、入居してすぐに製薬企業クオリティの環境で利用できるのは、当社のような製薬企業にとって大きな利点だと思います。リンクラボ葛西の運営ルールが確立しており、廃棄物処理、消防設備などの館内設備も整備されていることは、開所までのスケジュールが限られていた我々にとっては安心感がありあました。各階に休憩ができる共有スペースが充実しているのも助かります。お客様が来訪された時にも、共有スペースを利用させて頂いています。当社の社員は、昼食時には第一三共のカフェテリアも利用しております。
鳥居薬品宮崎様:1階にある無人売店も便利で、わたしもよく利用しています。
鳥居薬品土井様:2023年9月で入居4年目を迎えますが、今日までトラブルもなく、非常に仕事がしやすい環境が整備されていると思います。最初の頃は、たとえば廃棄物に関するルールなど慣れないこともありましたが、現在ではいろいろ経験させて頂き、うまくラボ運営ができています。
1社の規模は小さくても連携すれば大企業にも負けないイノベーションを起こせる!
三井リンクラボを通じて、これから実現したい未来についてお聞かせ下さい。
鳥居薬品土井様:当社はスギ花粉症に対する免疫療法の研究もしています。スギ花粉症は、日本人の約4割が罹患しているとの報告もあり、まさに国民病といった状況を呈しています。アレルギーに罹患すると、患者さまの生活の質は非常に低下すると言われています。葛西ラボでの育薬研究を通じて「アレルギーに苦しむ患者さまが、アレルギーから開放される日常がくる未来を目指したいと思っています。
ありがとうございました。最後に「三井リンクラボに対する期待」をお聞かせ下さい。
鳥居薬品土井様:テナント同士の交流を促す機会の提供にも期待しています。三井不動産が交流の旗振り役となって頂けると、助かります。
鳥居薬品宮崎様:交流イベントなどがあれば、会話の機会も増えていくでしょうね。
鳥居薬品土井様:いま大企業がオープンイノベーションに挑戦していると思います。三井リンクラボに入居するテナント企業は、当社も含めて小規模テナントも多いと思いますが、そこで働くテナント同士でオープンイノベーションが出来る機会があると期待しています。テナント間の交流促進などを通じて、新たなイノベーションが誕生する場と機会を提供頂ければ、その様な未来があるかもしれませんね。企業同士のオープンイノベーションは簡単なことではありませんが、社会の荒波に揉まれながらも、その門戸を閉ざさない活動が大事と考えています。